高齢化と人口流出が招く地縁組織の疲弊


まず、なぜソーシャル・キャピタルなのかという点についてもう一度整理しておきます。
今回は簡単にまとめるだけですが(汗

地縁組織の行き詰まり いわゆる「限界集落」の発生

これまでの仕事の経験から、地方では地縁組織*1が疲弊しています。
具体的には、


1 構成員の高齢化
2 構成員の減少
3 1,2による役員の固定化による構成員の疲弊

などがあります。

この状態がかなり進行すると、いわゆる「限界集落」となっていきます。
こういう状態になると、地域は新しいことをやる余裕はまったくありません。
また、こうした地域は得てして中山間地に位置しています。
こういう地域では便利な暮らし、娯楽がすぐそばにある暮らしはできないので、若い世帯が新たに入ってくることもほとんど期待できません。

新たなコミュニティへの期待

高齢化と人口流出。この二つが地域内で活動できる人を固定化してきました。
組織が固定化すると残念ながらたいていろくなことにならないのはいつでもどこでも同じです。
徐々に徐々に前の年の繰り返し、大変なものからやめていく。
そして、地域の魅力は失われていく。

こんな状況を打破するために、「新たなコミュニティ」への期待が高まっています。
民主党政権では「新たな公共」と言っていますし、前の自民党政権時代には「新たな公」と言っていたものもこの流れにあります。

従来の地縁組織ではもはや立ちいかないことが予測される中、今まで地域運営から距離のあった女性や若者、場合によっては子どもまで取り込んだ新たな地域自治組織への期待が高まっています。

接合型(ブリッジング)ソーシャル・キャピタル

そんな地域自治組織、新たな公共に求められる機能の一つに、地域外とのネットワーク構築があります。
地域外の人との交流促進や、UIターンを望む人たちの受け入れに積極的に動き、地域内に新たな風を入れようというものです。

で、ようやく今日の趣旨になりますが、この外部とのネットワーク構築こそソーシャル・キャピタルで説明できるものであると考えます。

ソーシャル・キャピタルの種類 接合型−結束型

ソーシャル・キャピタルには、社会的/イデオロギー的に同質性の強い構成員間で共有される結束型(ボンディング)と、異質な構成員で共有される接合型(ブリッジング)とがあります。
そして、『哲学する民主主義』で有名なR.パットナムは、接合型ソーシャル・キャピタルがガバナンスを促進すると考えました。



僕の出発点は、どうすれば地域がより魅力的になるか、地域に誇りを感じられるかを考えるところから始まっています。
その中でソーシャル・キャピタル論というものがあり、注目を集めていることを知りました。
ソーシャル・キャピタルですべてを説明できるわけではないと思いますが、自分の関心についてソーシャル・キャピタルから論じてみると、面白い内容にできるのではないかと考えています。

それと、やっぱり社会人学生という立場なんで、ソーシャル・キャピタルをしっかりと研究し、政策提案などに結びつけることができれば仕事にもプラスになる、という下心もあります(笑

それではまた!

*1:いわゆる自治会、集落